シニア犬にはシニア用のフードが必要とされてきています。何故ならシニア犬にとっては普通の成犬の栄養量とは異なるため良質な高タンパクフードが必要だからです。
人間でも同じことがいえますが、足腰が衰え運動量が減り、筋肉量が落ちることで基礎代謝量も減退し、食欲も落ちてきます。しかしながら必要な栄養を補給しなくてはいけませんので少量でも必要量の栄養が取れる高タンパクの食餌であることが求められます。
タンパク質は最も重量な栄養素で、体の全てを構成する基礎となる組織の材料となります。筋肉はもちろん、骨、臓器、皮膚、毛など生体としての土台を成形するものです。
ですから摂取するタンパク質の質や量が、健康な生活を送っていく為の重要ポイントなのです。人間も年をとると足腰が衰えてくるように、犬も同じように足腰が衰えてきます。
それは骨と関節に関係があります。全ての老犬にいえることですが、大型犬やダックスフントにも多いのではないでしょうか？大きな体を支えることで長年の負担が体の関節に炎症を起こし痛みと共にうまく歩けなくなってしまいます。
軟骨が減少することで骨が擦れ合い炎症を起こします。炎症が起こる前に軟骨の減少を抑え修復の手助けをしないといけません。軟骨はタンパク質から成形されます。軟骨成分はヒアルロン酸、コラーゲン、グルコサミン、コンドロイチン、これらの成分はタンパク質から合成されています。骨密度といわれるように骨も弱くなってきます。
骨の成形には軟骨が重要なポイントです。骨の原型である軟骨が成形され、軟骨部分に骨芽細胞が現れ、骨芽細胞がカルシウムやリンを使って軟骨部分を骨化させていきます。軟骨部分がしっかりと成形されていないとカルシウムやリンを摂取しただけでは骨は成形されません。体内のタンパク質量が不足すると健康な軟骨成形が出来ません。健康な骨作りにはタンパク質が必要不可欠です。
足腰が衰えるとやはり運動量も減りますよね。運動量が減ることで筋肉量が減少し衰えてきます。
そうすると足腰も弱り、それだけではなく基礎代謝も低下します。代謝が悪くなると必要栄養価も減り、食も細くなっていきます。これでは悪循環を繰り返すばかりです。ですから基礎代謝を上げるには「筋肉」なのです。
筋肉量を増やすには筋肉の素タンパク質です。特に老犬には少量でしっかりとタンパク質摂取できることが重要です。ですから良質なタンパク質がよいでしょう。良質なタンパク質とは新鮮かつアミノ酸スコアが100に近いことが条件です。アミノ酸スコアとは必須アミノ酸の含有量が十分であるかということです。
犬の必須アミノ酸は10種類、猫の必須アミノ酸は11種類です。必須アミノ酸は一つでも不足すると機能が低下します。必須アミノ酸は生体内で合成出来ません。つまり食事によって体外から採り入れなければいけません。
良質なタンパク質は代謝の際に発生するする窒素量が少ないので腎臓への負担が軽くなります。シニア犬になれば臓器も衰えてきていますのでなるべく負担の少ないことが重要になります。年をとると共に毛艶も悪くなってきます。毛はケラチンという成分で出来ています。
ケラチンもタンパク質なのです。タンパク質の摂取量が不足すると良好な毛を作り上げることが出来ません。
そうすると毛艶の悪い被毛となります。そして毛艶にはオメガ3、オメガ6という成分が重要な成分で、これらは必須脂肪酸といわれ細胞膜を作ります。タンパク質と必須脂肪酸が毛艶の良い被毛を作り上げます。
食が細く、運動不足、代謝低下等の老犬の健康を考えた場合、少量の食餌で必要な栄養量を摂取しなければいけません。少量でも良質なタンパク質を豊富に含む食事をすることでこれらを防ぐことが出来ます。老犬にこそタンパク質は必要な成分なのです。
